世界とつながる生き方をマレーシアから

ペナンでバティック(ろうけつ染め)体験

国際交流基金の日本語パートナーズ マレーシア5期としてペナン州に派遣されています、庄村 夢です。マレーシアの公立中等教育機関で、現地の日本語の先生のアシスタントとして活動をしています。

日本語パートナーズの重要な活動の一つに「現地の文化を学ぶ」というものがありますので、今回は、マレーシアの文化について触れた体験について書きたいと思います。

マレーシアには、バティックという伝統工芸があります。溶かした蝋(ろう)で布に線画を描き、その線の中や周りを専用の絵の具で塗ります。蝋の部分は色が染みこまないので、絵の具を塗って乾かしたあと、固まった蝋をお湯で落とすと、色がついていない線が残ります。

チャンティンという道具を使って溶かした蝋で線を描きます


 

色を塗ります。絵の具は8色ですが、混ぜたり水で薄めたりして色は無限大

布が渇く前に塩や砂糖をまぶして独特の模様を出すテクニックも!

絵の具の色を留めるため糊を付けます

お湯で蝋を落として乾いたら完成

日本にいるときから「マレーシアに行ったら是非バティックをやってみたい」と思っており、3月に、バティックアーティストの工房へ体験に行きました。そしてその魅力のとりことなり、休日など時間があるときに工房へお邪魔して、教えていただいています。

最初の頃は、先生が横につきっきりで、線を描くときに蝋の状態やチャンティン(蝋で線を描くときに使う道具)を動かす速さをチェックしてくださったり、どの線から描けばよいかのアドバイスをいただきながら描いていましたが、最近は、自分でやるようになりました。また、色をつける際も、ただ色を塗ったり水でぼかしたりするだけでなく、塩や砂糖を使ったり、何層にもわけて色を重ねたりする手法を教えていただきました。

様々な技法を使おうとすると、予め頭の中で完成図を描き、逆算して工程を組み立てて作業を進めなければなりません。また、作品にもよりますが、何度も絵の具を乾かす・塗ることを繰り返す作業、蝋で細かく線を描く作業は、大変な時間と労力を必要とします。

↓このように何度も色を重ねて乾かすことを繰り返すと、深みのある絵になります

日本でも、伝統工芸と呼ばれるものは、時間や手間がかかるものが多いですが、マレーシアでも似ているのかなと思いました。マレーシアでも日本と同じく、伝統工芸に従事する人は年々減少しており、このままだと技術や模様などの伝承が途絶えてしまうのではと心配する声も聞かれます。

マレーシアでは、この伝統工芸のバティックを次の世代につなぎたいという動きがあるそうで、私の赴任先の学校では「毎週木曜日はバティックデー(バティックを身に着ける日)」となっています。女性の先生はバティックのスカートやバジュクロン(マレーシアの民族衣装)、トゥドゥン(イスラムの女性が頭を覆うスカーフ)を身につけますし、男性の先生もバティックのシャツを着たり、カバンを持ったりします。

赴任当初は、バティックの服を一枚も持っていない私でしたが、最近は、バティックデーには、バティックのスカートをはくようにしています。学校ではもちろん、街でも「素敵なバティックの服ですね」と声をかけられます。今はまだ、バンダナサイズの白いキャンバスに絵を描くだけで精一杯ですが、いつか自分で描いた作品をスカートに仕立てたいと思っています。

 

私のお気に入りの一枚。日本の友人の黒ネコの”ろくちゃん“です。写真を送ってもらってそれを見ながら描きました。帰国後にフレームに入れてプレゼントしようかな。


庄村 夢
高校時代に2年間の米国留学、大学時代に8カ月のカナダ留学を経験し、日本語を母語としない人に日本語を教える「日本語教師」の仕事に興味を持つ。大学卒業後、約18年間、日系のメーカーに勤務。退社後、日本語教師養成講座420時間コースに通学。2018年に日本語教育能力検定試験に合格。2019年1月より9月末まで、国際交流基金 日本語パートナーズ マレーシア5期として、ペナン州の公立中等教育機関に派遣され、日本語クラスのアシスタントや日本文化紹介などの活動に従事。