マレーシアから世界とつながる

生徒達とお好み焼き作り

国際交流基金の日本語パートナーズ マレーシア5期としてペナン州に派遣されています、庄村 夢です。マレーシアの公立中等教育機関で、現地の日本語の先生のアシスタントとして活動をしています。

日本語の授業やイベントなどで、言語だけでなく日本の文化を紹介し、楽しんでもらうのも、日本語パートナーズの活動のひとつです。今回は、生徒たちとのお好み焼き作りのエピソードを紹介したいと思います。

マレーシアの人たちは食べることが大好きです。生徒も日本食に興味津々で、日本語の勉強を始めて日が浅い子でも、寿司、たこ焼き、てんぷら、お好み焼きなど、料理の名前をたくさん知っています。でも、実際に日本食を作ったり食べたりしたことがあるかというと、まだあまり経験がない生徒も多いようです。

そこで、Form 3(日本の中学3年生に相当)の日本語クラスの生徒たちと一緒に、お好み焼きを作ることにしました。材料は全て、イスラム教徒の方も食べられるハラルフードです。日本のお好み焼きソースなどはペナンのスーパーで入手できますが、ハラル認証がついていないことが多く、授業では使えません。ですから、日本の本当の味とは少し違ってしまうけれど、お好み焼きソースではなく、代わりにオイスターソースを使います。肉も、安くて調理に手間のかからないソーセージを提案しました。材料はほとんど全て、生徒が自分たちで分担して揃えました。

さてお好み焼き作りですが、まず私が作り方を説明しながら、材料を切ったり混ぜたり、焼いたりして見せ、あとは生徒たちにやってもらいます。ちょっと焦げたり、形がゆがんだりしたけれど、みんなでワイワイ楽しくお好み焼きを焼くことができました。

みんな真剣な表情でお好み焼きを焼いています

最後に試食をしたら、大好評。口々に「私のは日本食レストランのよりおいしい」「私のが一番おいしい」「また作りたい」と言っていました。何人かは余分に作ってタッパーウェアに入れて持ち帰り、家族に味見をしてもらうとのことでした。

みんなでおいしくいただきました

私の学校の日本語の先生は、料理などの文化紹介のとき、いろいろと指示は出されますが、基本的に生徒に全てやらせます。私も、代わりに作るとか、作ったものをあげるということはしません。そのおかげで失敗も多いですが、先生や私がいなくても生徒たちだけで作れるようになっていきます。

先日、学校の各クラブで屋台を出すイベントがありました。日本語クラブは3年生が提案した「お好み焼き」と1年生が提案した「おにぎり」を売ることに。試作時に材料と作り方の確認をしただけで、あとは私も先生もノータッチです。全て生徒たちだけで準備をし、作りました。当日、屋台でお好み焼きとおにぎりを買って食べたら、とてもおいしかったです。

全て生徒たち自身で準備し、お好み焼きとおにぎりを作りました

お好み焼きには割り箸がついていました。左の袋の中にはおにぎりが2個入っています。

私がペナンにいるのは9月末までですが、そのあとも、ときどき日本食を思い出したり作ったりしてくれたら、うれしいです。そして、いつかみんなが日本に来ることがあったら、一緒に本場の日本食を、食べに行きたいと思います。


庄村 夢
高校時代に2年間の米国留学、大学時代に8カ月のカナダ留学を経験し、日本語を母語としない人に日本語を教える「日本語教師」の仕事に興味を持つ。大学卒業後、約18年間、日系のメーカーに勤務。退社後、日本語教師養成講座420時間コースに通学。2018年に日本語教育能力検定試験に合格。2019年1月より9月末まで、国際交流基金 日本語パートナーズ マレーシア5期として、ペナン州の公立中等教育機関に派遣され、日本語クラスのアシスタントや日本文化紹介などの活動に従事。