マレーシアから世界とつながる

マレーシア派遣で学んだこと〜パーフェクトな場所は自分次第!〜

国際交流基金の日本語パートナーズ マレーシア5期としてペナン州に派遣されていました、庄村 夢です。マレーシアの公立中等教育機関で、現地の日本語の先生のアシスタントとして約8カ月半活動をしており、10月上旬に日本へ帰国しました。

帰国後の報告会にて

10月下旬に東京で、マレーシア5期の帰国報告会がありました。
5期メンバー全員が、それぞれの現地での活動や感じたことなどをプレゼンテーションし、国際交流基金の方々に報告する会でした。プレゼン資料を作るにあたり、写真を整理したり、活動を思い出したりしましたが、無我夢中の8カ月半だった気がします。他のメンバーも同様だったようです。

日本語パートナーズの派遣先ですが、応募時に国は選べますが、どの都市・地域に行くかの希望はできません。誰が、どの州のどの学校へ派遣されるかは、国際交流基金がマッチングします。ですから、想像していた場所と違うとか、私はもっと都会が(または田舎が)よかったとか思う人もいたと思います。

マレーシア5期報告会にて。全国から集まったメンバーが一堂に会するのは、これが最後です。メンバーの中には、また海外へ行く予定の人もいます。

パーフェクトな場所はどこにもない

みんなの話を聞きながら強く思ったのは「一番いい場所も、一番悪い場所も、ない」ということでした。赴任先地域、学校、先生や生徒たち、授業、イベント、地域の人たち…すべてがパーフェクトな一番いい場所に行った人、というのは、いなかったのではないでしょうか。

・田舎すぎてグラブも呼べず買い物にいくのも大変だった人
・全寮制の学校で深夜まで日本語の補習に付き合った人
・現地の先生や生徒とのコミュニケーションに苦労した人
・文化の違いに戸惑った人
・日本文化を伝える活動などが思い通りにいかなかった人

など、程度の差はあれ、楽な8カ月半を送った人は誰もいませんでした。(一方、全てが最悪でダメな酷すぎる場所に行った人も見当たりませんでした)

私自身は、ペナン州のジョージタウンに派遣され(都会で便利)、優しくて日本語堪能な現地の先生と一緒に授業ができ、相当恵まれていたと感じています。それでも、決して楽なことばかりではありませんでした。途中、7月下旬から産休で現地の日本語の先生が不在となり、残り2か月の日本語の授業を一人でこなさなければならなくなったときは、本当に不安でした。

青い芝生も自分次第で変えられる

マレーシア滞在中~その後、他のパートナーズ仲間の話を聞くと、羨ましく思うことがお互いによくありました。学校の寮に住んでいた私は、KLからほど近いコンドミニアムに住んでいた人を羨ましく思ったりしましたが、その彼女は、

「世界遺産の街に住んでいていいなあ」

と私に言っていました。また、日本の文化紹介で、よさこいが踊れたり茶道ができる人はいいなと思ったこともありますが、その人は

「ゆめさんは手芸が得意だし折り紙も上手だし、ほんと羨ましい」

と言ってくれました。そんな会話を繰り返しながら、

「一番いい場所も、一番悪い場所も、ない」そして「自分が行った場所、与えられた環境を一番いい場所にできるかどうかは自分次第」

と思ったんです。

日本でも海外でも、自分で選んだわけではない場所や環境に身を置くことがあると思います。事前に入念に調べて選択したにも関わらず、予想外だったということも多々あるでしょう。場所でも、学校でも、会社でも…。

そんなとき、隣の芝生が美しく真っ青に見えてしまいます。でも本当にそうでしょうか。芝生は青くなくても、かわいい池があったり、小鳥が訪れる木が生えているかもしれません。どうしても青い芝生に憧れるなら、お隣さんに芝生を分けてもらったり自分で植えてみてもいいかもしれません(意外と手入れが大変だったりして…)。

来年マレーシアへ渡航する6期メンバーの派遣前研修で、活動を紹介しました。これからマレーシアへ8カ月半行けるなんて、いいな~。大変だったけれどもう一度行きたいです。

こんな風に仲間と話すことで、そして改めて自分のまわりを見直すことで、大切なことに気づきました。そしてこのことは、来年マレーシアで活躍する予定の「日本語パートナーズ マレーシア6期」の派遣前研修でもお話させていただきました。

マレーシアから帰国して、2か月が経とうとしています。
来年から、休学していた日本語教師養成講座に復帰し、同時に日本語学校への就職活動も始めようと思っています。もちろん学校見学など下調べは入念にするつもりですが、自分で道と場所を決めたら、そこが自分にとって一番いいところになるようにしていこうと思います。

5期メンバーとは、これからも連絡をとっていこうと思います。仲間の活躍は、羨ましい、ではなく励みになります!


庄村 夢
高校時代に2年間の米国留学、大学時代に8カ月のカナダ留学を経験し、日本語を母語としない人に日本語を教える「日本語教師」の仕事に興味を持つ。大学卒業後、約18年間、日系のメーカーに勤務。退社後、日本語教師養成講座420時間コースに通学。2018年に日本語教育能力検定試験に合格。2019年1月より9月末まで、国際交流基金 日本語パートナーズ マレーシア5期として、ペナン州の公立中等教育機関に派遣され、日本語クラスのアシスタントや日本文化紹介などの活動に従事。